2025/02/21
東京にお住まいの方から、山口にある実家のお仏壇の処分のご依頼がありませした。
幅1メートル 高さ 180cm の大きなお仏壇でした。
中に有った 『 阿弥陀如来 』の掛け軸は既に外されて、
絵像部分は切り取ってあり、東京のご自宅で保管してあるとのことで、
掛け軸の周りの表装部分は、お仏壇と一緒に処分して欲しいとのことでした。
当店で、掛軸のサイズ直し・表装直しをしているとお話しすると
子供の頃、可愛がってくれた母方の祖母の方が、毎日、欠かさず拝んでいたお仏壇の
『 阿弥陀如来 』で、お仏壇は、大きくて東京には持って行けないけど、
『 阿弥陀如来 』には自宅のリビングで、私たちを見守って欲しいとの事で、
是非、お願いしたいということで、後日、『 阿弥陀如来 』の絵像を郵送していただきました。
また、その時に、仏具も処分して欲しいとのことで、持ち帰って中をみると
古い小さなお逗子があり、中に小さな掛軸入っていました。
糊で貼り付けられていましたが、注意深く取り外してみると
裏書に 釋 法如 と記載
法如(ほうにょ)(1707 – 1789)は、
江戸時代中期の浄土真宗本願寺派 西本願寺住職 第17世宗主
寛保3年:1743年~1789年)の 47年の長期にわたり宗主を務めたお方です。
この掛け軸の年代は
新しくても 236年前、古いと282年前 の間に本山から授かった掛軸だと、いうことになります
すぐに、『 折角なので、一緒に 表装直しをしませんか? 』とお電話して、快諾。
まずは大きな掛軸から作業を始めます。
元々は、150代 サイズ 高さ 66cm × 総幅 24cm のとても大きな掛軸です
使用するのは スタンド式掛軸 紫檀 ドンズ(抹茶)
小 高さ24.0cm 台幅11.0cm 本体 奥行き2.5cm(脚装着時 5cm)
紫檀のフレームに抹茶色の緞子生地が貼られた掛け軸スタンド台
フレームの内側に合わせて、阿弥陀如来像をカット
元々、掛け軸に仕立てられていた時の浄土真宗本願寺派の宗紋 の赤い紋廻し(中縁 ちゅうべり)を利用
赤い紋廻し(中縁 ちゅうべり)を利用することで、一層阿弥陀如来像が引き立ちます。
続いて、法如上人の裏書の阿弥陀如来像
スタンド掛け軸台 (小) (20cm × 9cm × 3.4cm)
裏書をスタンドの背面に
依頼を受けたお客様にも、大変喜んで頂きました。
これ以外でも、かなり古い掛け軸を表装直ししてきました。
北陸のお客様の 江戸時代から続く、お仏壇の掛け軸をサイズ、表装直しを致しました。
昨年の1月 能登半島地震で被災された方からお預かりした、掛け軸
裏書には、一如上人
一如上人
延宝7年(1679年)、真宗大谷派 第十六代世を継承。
元禄13年4月12日(1700年5月30日)、52歳にて示寂。
今から、325年から346年前の本山から授かった掛け軸
また、別の方の掛け軸は
光尊( こうそん)
明如光尊(幕末から明治時代前期までの浄土真宗の僧侶。西本願寺21世門主。
1872年(明治4年)、広如の死去により本願寺21世法主を継職 〜 明治36年(1903年 寂)
なかなか、掛軸の裏側を見ることはないと思いますが、
折に触れて、あなたの家に伝わる、掛け軸を確認して、時代を確認してみませんか?